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講演内容 ]
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基調講演 『GITI
ALLIANCEの実現に向けて』
富永英義 (GITI ALLIANCE主宰) |
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[プロフィール]
社団法人電子通信学会会長、財団法人電磁応用研究所理事長。 2008年3月、早稲田大学理工学部教授、早稲田大学大学院国際情報通信研究科(GITS)所長を退任。
1964年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了後、日本電信電話公社電気通信研究所に入社。1973年早稲田大学工学博士号取得、以降早稲田大学教授、英国エセックス大学客員教授、通信・放送機構早稲田リサーチセンター総括責任者、アジア情報通信基盤協議会(AIC)日本委員会会長、電子情報通信学会副会長、画像電子学会会長を歴任。専門は電子通信網工学、高知能映像情報ネットワークシステム。著書に「LAN」「コンピュータネットワークとプロトコル」など。電子通信学会稲田賞(1963)電子情報通信学会業績賞(1990)、画像電子学会論文賞(1990)ITU
協会賞(1991)、電子情報通信学会業績賞(1994)、エリクソンテレコミュニケーションアウォード(1998)電子情報通信学会功績賞(2004)受賞。 |
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[講演内容要約]
BNCフォーラムは3年前に第一回が開催され、GITIフォーラムの一環としてブロードバンドコンバージェンスが定義されています。
GITIフォーラムとは、1997年GITIの設立時から開始されているもので、GITIの研究課題をもとに、創立記念日である6月1日前後に開催することとなっております。
BNCフォーラムは、ネットワークコンバージェンスを課題として新たにチャレンジするフォーラムであり、年に1、2回の開催を予定し、スタートしたものであります。本日のBNCフォーラムについて、共催、後援を頂いた方々、関係者の方々にお礼を申し上げます。
まず、GITIの提案についてご紹介させていただきます。
1. 地球的規模のパラダイムシフトの進行
現在の100年に一度の経済不況下では何があっても不思議ではなく、今までの体制ではやっていけなくなったと言えます。モノの考え方を根本的に変えて、動いていかなくてはならなくなりました。私共の大学においても同様なことが起こっているといえます。産官学連携、人材育成についても、パラダイムシフトを考えなくてはいけません。
2. ICT人材の空洞化現象と産業の衰退
この10年、日本のICT人材は、かなり少なくなってきているような気がします。とりわけ学会に入ってくる希望者、情報通信を希望する学生数がみるみる激減しており、いつのまにかどの大学でも同じような現象が起こっているといった状況です。電気情報通信分野は3K学科と言われ、既に敬遠される傾向が出ており、入学時における最も入りやすい学科になっていると言われています。この様に、日本において、ICT産業がどんどん衰退するような今日の状況に非常に危機感を持っています。
3. ガラパゴス化技術からの脱却
私共、標準化技術というものを非常に一生懸命に行っております。私もファクシミリの標準化技術やMPEG標準化に携わって参りました。日本のエンジニアは大変優秀で独創的なアイディアを世界へ発信しているのですが、それが果たして世界で使えるかと言うと、そうとも言えず、それはまた別の現象を引き起こすこととなっています。この現象は、現在マスコミによりガラパゴス化という言葉を付けられていますが、こちらもかなり深刻な問題となっています。
4. GITI ALLIANCEの提案
GITI Allianceの構想をご紹介いたします。まず一つは、GITIを設立したときの視点についてご説明致します。一つ目は北北問題です。これは先進国同士での技術と経済の競争と強調の課題をさしたもので、13年前に提案したものですが、これは今現在でも生きています。もう一つは、南北問題についてです。アジア諸国と連携することで基本的には経済格差の解消、あるいは韓国、中国の技術力が日本を凌駕する状態となっている現在、ヨーロッパと同じように手を携えて先端技術を一緒に行っていかなければならないという、新たな局面を迎えています。このようなことが課題として挙げられます。
13年前にGITIフォーラムを設立しましたが、このGITIフォーラムの裏づけをもって、GITI Allianceとしてその機能を継承していきたいと思います。国際的な人的交流に基づく共同研究の推進、諸外国のテレコム分野を中心とした人材育成を行う機関、大学およびITU等と連携する糊の役割をしてみたらどうかというのがGITI-Aの趣旨であります。
また、予てより、1998年に設立されたこのGITIと同じような研究・教育のアクティビティを持つアジア諸国の大学関係者に呼びかけてまいりました。本日パネラーとして参加していただいている韓国高麗大学のKang教授、中国清華大学の牛教授等々今までお付き合いいただいているこれらの方々を含むアジア諸国に声をかけ、システマティックに連携し、アライアンスといった概念で共同に作業すべきことがあるのではないだろうか、またはこれをアメリカ、ヨーロッパあるいはインド等にも広げ連携していけたらどうかというのがGITI-Aのもう一つの提案であります。
中核的な機能については、これはGITIを作ったときの概念とまったく同じであり、同様なことを今回も推奨していきたいと思っています。アジア諸国の大学機関、研究機関、企業の産学連携拠点作りのために協議会を発足。これをGITI-Aの機能としてそれぞれ3年間を目標としてターゲットを絞っていきたいと考えております。
具体的には研究テーマの交流、産学連携ということでスポンサー候補となる企業を集めて、企業に還元できるような実務的な研究テーマを大学に集めることを、より具体的に体系化したいと考えております。特に博士論文の構想や、優秀修士論文の発表について企業と蜜に連絡をとる、日本語、中国語、韓国語、英語といった形でアジアの中で共通なフォーラムや発表会を開催、日本企業、外国企業に対するコンサルティング、または国際連携研究大学院大学として、各大学に既に存在する組織と連携できる仕掛けが可能であるか等について検討しております。3年という一つのターゲットではありますが、まずは今年一年をかけて、活動に関する様々な規約、拠点作りについて努力していきたいと思っております。13年前にGITIを作った際のコンセプトをベースとして、今日流のやりかたでやり直しを図りたいと思っております。
イメージとしては、アジアを中心としてその他ヨーロッパ、アメリカとの連携を考えております。また、機能としての概念は、配布資料にあるとおり(GITI−A事業構成頁参照)、産業界、政府、NGOと連携したネットワーク型プロジェクト研究を行いたいと思っております。
その際、大学の機能と産学連携の機能と一緒の部分または分かれる部分ときちんとわけて、活動を遂行する必要があります。そのためには組織として分かりやすいものに見直す必要があり、その辺をAllianceという形で各国と各大学とで話し合う必要があると思われます。
長期的な意味で考えているのは、2020年をイメージとした、グローバルコラボレーションの確立です。グローバルコラボレーションというのは、エネルギー問題を地球的規模で考え、例えば生活における低炭素化に対するコントロールをネットワークにより行うと同時に、様々な連携ができるようなシステムの実現に向かって技術開発をすることです。期限としては、2012年頃までを一つのターゲットとしたいと思っています。2030年は、ここでいう”伝気通心”というのをどうやって伝えるかということが課題であり、こちらも長期的視野で考えています。
これは20年先の話ではありませんが、オバマ大統領あるいは日本の政府も既に手を付けているようでありますが、NGN by NGNという、ニューグリーンニューディール バイ ネクストジェネレーションネットワークといった次世代通信網における生活環境制御機構の実現についても考えております。
以上申し上げましたことをGITI−Aの各国共通の課題とし、今後はこれに関する活動の種まきをしたいと考えています。将来に対する種まきということで前向きのビジネスができる仕組みづくりを検討して参ります。アジアとの関係をより密接な関係にし、ヨーロッパ、アメリカとの連携における種としていきたいと思っております。以上がGITI-Aの狙いとするところでございます。皆様のご協力・ご支援を頂ければ幸いでございます。何卒宜しくお願い申し上げます。
以上
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