|
[
講演内容 ]
|
|
|
ネットワークの融合におけるOSのあり方
郡山 龍(アプリックス代表取締役会長兼社長, CEO) |
|
|
|
|
|
[プロフィール]
1963年生まれ。早稲田大学理工学部機械工学科中退。1987年株式会社アプリックス代表取締役社長就任。現在、同社代表取締役。
|
|
|
|
|
講演映像はこちら講演資料はこちらWEBパネルディスカッションはこちら |
|
|
|
|
[講演内容要約]
ソフトウエア業界の立場からお話しさせていただきたいと思います。アプリケーション開発の側からみると、技術的にはOSには、様々な違いを吸収してくれるというメリットがある一方、ネットワークの融合においてはベアラの違いを吸収するというソリューションが意外に作られていないという問題があります。最近話題になっているコグニティブ無線でも、ネットワーク側が最適なベアラを選ぶということについてはほとんど研究がされておらず、実際使っているベアラが最適なものかどうかがアプリケーション側からは選択もしくは認識できない、しづらいという不便な状況になっています。
【組み込みOSの現状】
一方、ビジネスやシステム開発面での組み込みOSの現状ですが、携帯電話のOSのマーケットはSymbianが世界で一番高いシェア率を占めています。携帯電話のOSは実はメーカーや事業者によってほとんど既に決まっており、日本の携帯のOSもほとんどリナックスとSymbianです。このような中でAndroidやLIMOのように、プラットフォームの共通化という考え方がでてきた背景には開発現場の惨状があります。通常組み込みソフトウエアの開発は定義から計画・製造・試験・評価・出荷というようなプロセスを経ていきますが、近年一番大きな問題となっているのはコード量の増加ではなく開発に関わる人員の増加です。日本全国から海外まで至るところで開発をしますので、作ったモジュールのすり合わせにものすごい時間がかかります。共通プラットフォームや共通フレームワークといわれるものはそれらを部品化してきれいなフレームワークにはめ、もっと効率よく物を作っていこうという考え方からうまれたものです。
これに対し、モジュールはそんなに簡単に組み合わさるような単純なものではないという意見、またモジュールそのものが進化しているという意見もあります。おもちゃのLEGOに例えてみると、今日のレゴは昔のような四角いブロックばかりではなく様々な複雑な形のパーツがでています。LEGOのLEGOたる所以は、モジュール間に標準APIが存在するが故にそれぞれ簡単に接続することができるというところです。そういう意味でいえば現在のOSというのはAPIの塊のようになっており、レファレンスインプリメンテーションによる組み合わせで新しいものが作られます。基本的な機能は非競争化して、非競争領域に関しては競争化するというように、競争する部分を分けていこうという考え方から、オープンソースというものが現れています。
【携帯電話の進化と今後の動向】
現在の携帯電話はもうほとんどPC化していて今後は事業者間での差別化は難しく、サードパーティが開発するアプリが差別化のカギになるだろうといわれております。新しい意味でのオープンソース化が進んでいます。googleのAndroidも全てがオープンソースというわけではなく、クローズになっているモジュールもたくさんあります。いわゆるプラットフォーム対フレームワークの攻防で、独立したサービスは排除され、OSのプラットフォームを作るのをやめてしまったところは敗退して独自のOSのプラットフォームを作ったところだけが勝ち残る、そのような状況を恐れて、LIMOなどの動きがでてきたといえます。
また端末の分野では、例えばノキアがインドやアジアなどのエマージングマーケットで高機能かつ低価格という意欲的な端末を出して売り上げを伸ばしています。ノキア端末独自のメールアドレスなどのサービスによる利用者の囲い込みという意図もありますが、これも端末が事業者のコントロールから離れてオープン化してきているという一つの象徴でしょう。日本のベンダーにも、日本の優れたサービスを直接海外に持っていこうという動きがでてきています。コンテンツ・配信サーバー・端末ソフトという一気通貫の知的財産インフラを使い日本版のApple Storeのようなものを作っていくということが、オープン化へのひとつのソリューションではないかと思います。
以上 |
|
|
|
|