[ 講演内容 ]
     
中国における取り組み
牛 志升 Zhisheng Niu(清華大学教授)
     
  [プロフィール] 

B.E. from Northern Jiaotong University in 1985 and PhD from Toyohashi University of Technology in 1992. After spending 2 years (1992-94) in Fujitsu Laboratories Ltd., he joined with Tsinghua University in 1994, where he is now a professor and deputy dean of the School of Information Science and Technology. He also visited NICT from 1995-96 and Hitachi Central Research Lab. from 1997-98. His current research interests include teletraffic theory, mobile Internet, wireless networks, and broadcast networks. Dr. Niu is a fellow of the IEICE and director of Asia-Pacific region of IEEE Communication Society.
     
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[講演内容要約] 

【中国の現状】

中国あるいは清華大学という観点から、これからの産学連携の在り方についてお話したいと思います。

現在、中国のIT/ICT産業とマーケットは既に世界一になり、9億〜10億の携帯電話加入者とおよそ2億人のインターネットユーザーを擁しています。まだまだ普及率にはゆとりがありますので、今後も通信の発展に従いもっと市場が出てくると思われます。今後通信は人と人の通信から、将来は主に機械と機械、センサーとセンサー間のものに発展しながらユビキタスなものになっていき、コンピューティングについては2020年には人間1人当たり約1テラバイト程度のCPUが必要になると予測されています。


【IT/ICT産業の発展とエネルギー問題】

IT/ICT産業の発展に関しては、これからエネルギー問題の壁に直面すると思われます。例えば2007年度に中国の4大キャリアが消費した電力は合計200億ワットになりました。このように、エネルギー消費の拡大はIT産業が直面する最も大きな課題であります。世界全体のデータセンターの消費電力は一つの国全体の消費電力よりも大きいといわれています。このような問題はエネルギー問題、環境問題、社会の問題も含むものであり、IT自身だけで解決できるものではありません。そのためこれからは、ITは他分野の専門家や企業と連携しながら学際研究と産学連携を、それもグローバルに行っていくことが必要になってきます。中国もここ10〜20年くらいの間に非常にグローバル化が進んでおり、他のアジアの国との連携を考えなければこれらの問題の解決をできない状況になっています。

また、エネルギー問題や環境問題を解決するネットワークの中心を、IT技術が繋ぐと考えられており、現在、清華大学ではエネルギー環境や環境問題に関する研究センターを設立し、この課題への取り組みに力を入れているところです。


【産学連携について】

大学と産業の連携は、今後ますます重要になっていくでしょう。通信やITの分野では、どれだけ良い技術でも標準化に合わなければ使い物になりませんし、特にIT分野はイノベーションのサイクルが非常に速い為、産学連携は、大学の研究成果をすばやく社会に還元する上で重要な役割を果たしています。また、大学も自ら積極的に産業界と協調する必要があります。近年は従来行われていたような長期スパンでの研究開発が難しい時代になり、企業はリスクのある研究を躊躇していますので、大学の役割としてそのような研究を担当することにより、企業と大学間でのリスクの分担がもっと大切になっていくと思われます。


【人材育成について】

人材育成の面では、幸い中国はエンジニアの人材がまだまだ豊富であり、35万人以上生まれる修士号取得者のうち半分以上がエンジニアリングの学生です。清華大学については、現在技術の他、人文社会・法律・医学・芸術等、ほとんどの学部を揃えていますが、中でも情報学部は一番大きく6700名の学生が在籍しております。全国から最も優秀な学生が集まるため、企業側からの人材需要に対しても十分応えることができます。

また清華大学には、清華大学の学科、清華大学の会社、メンバーである会社の情報共有・交流の場として、清華大学サイエンスパークが作られました。清華大学正門の前にあり、ここではIT関連企業を中心にたくさんの多国籍企業が入っており、様々なフォーラムやインキュベーションを促進しています。今後企業との連携をさらに強めるために、学科以外にも実問題を解決するためのマネジメントの勉強もできる、プロフェッショナル・ディグリーやマスター・オブ・プロフェッショナルというコースにも注力しています。その他、海外の企業との共同研究を大学が研究室を設けて行ったり、包括協定のような形で企業から研究基金や研究生を提供してもらったり、また、企業が経費を負担し、大学と企業が国内外から研究者を講師として招くといった冠講座の開設も考えております。企業との連携や学際研究への取り組みに対して電動実験室やサイエンスパークは非常に大きな役割を果たしています。清華大学では今後、このような活動に関する大学と企業間の情報交流をさらに発展させていきたいと考えております。


以上
 
BNC FORUM2009 プログラム

講演内容 INDEX + WEBパネルディスカッション


基調講演 『GITI ALLIANCEの実現に向けて』
富永英義(GITI ALLIANCE主宰)


パネル討論T 
『産学連携におけるパラダイムシフト』


国際標準化作業における産学連携の仕組と課題
淺谷耕一 (工学院大学教授)

国際協調における取り組み
花澤隆 (NTT取締役 研究企画部門長)

プロイノベーション時代の研究開発戦略
〜製造業から見た産学連携と標準化〜

広崎膨太郎 (NEC 代表取締役 執行役員副社長)

中国における取り組み
牛志升 Niu Zhisheng(Deputy Dean, School of
Information Science and Technology, Tsihnghua University )


韓国における取り組み
姜哲煕 Chul-Hee Kang(高麗大学教授)

AICとアジアにおける取り組み
Khairuddin Ab Hamid
(Vice-Chancellor/CEO, University Malaysia Sarawak)



パネル討論II 
『移動通信システムのオープン化とパラダイムシフト』


携帯電話の進化とオープン化
竹田義行 (NTTドコモ執行役員)

オープン志向のWiMAX: 「日本の」携帯電話とどこが違うか?
冲中秀夫 (KDDI執行役員 技術渉外室長)

ビジネスにおけるネットワークの展望
弓削哲也 (ソフトバンクテレコム専務取締役専務執行役員
兼CTO技術統括 研究本部 本部長 渉外部担当)


ネットワークの融合におけるOSのあり方
郡山龍 (アプリックス代表取締役)

EUにおける現状
Geoff Morrison (Chief Devices Researcher,
Broadband Applications Research Centre, BT Innovate)
     
     
     
 
   
   
     
       
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