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講演内容 ]
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プロイノベーション時代の研究開発戦略
〜製造業から見た産学連携と標準化〜
広崎膨太郎(NEC代表取締役執行役員副社長) |
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[プロフィール]
1970年東京大学工学部卒業、同年日本電気株式会社入社。97年伝送事業本部第一伝送通信事業部長、2000年光ネットワーク事業本部長、01年執行役員
光ネットワーク事業本部長、04年執行役員常務 知的資産事業本部長、06年執行役員専務、07年取締役執行役員専務を経て08年4月より現職。工学博士、IEEEフェロー、電子情報通信学会フェロー。共著に「リストラクチャリング」(NTT出版)、「ディジタル通信」(丸善)。
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[講演内容要約]
【製造業におけるパラダイムシフト】
現在の経済状況の中で、製造業も大変に苦戦しています。しかしこれはある意味では、次の新しい時代に向け、原点に帰り新たな成長に向かう過程に差し掛かっていると言えると思います。そこで本日は、価値の創造がどう変化しているのか、それに向けてどのようにアクションを取るべきかについて考えてみたいと思います。
近年製造業は、以前にも増して最低値調達・最適地生産がスムーズに行われるようになり、コスト構造がガラス張りになった結果、従来のやり方では付加価値が付けられなくなりました。またデジタル化の進展による製品のコモディティ化、商品のライフサイクルの短期化により、研究開発においても従来のやり方では投資回収ができない時代を迎えています。モジュールを組み合わせることが簡単になったことで、モジュール間の刷り合わせの部分に存在していたノウハウに付加価値をつけることが難しくなり、付加価値は製品機能のさらに裏側に埋め込む必要性が出てきております。製造業は単なるモノの製造だけではなく、価値を生み出すシステムアーキテクチャをも含めた大きな事業のサイクルを作らなければ、事業そのものの継続ができなくなる時代になったといえます。このようなパラダイムの変化の中では、個別に付加価値を確保するためにクローズにするものと、仲間をつくって市場と機会を拡大するためにオープンにするものとの二つを戦略的に考えて配置することが重要になってきています。標準化作業はこの両方にオーバーラップする戦略的活動ですから、技術の標準化だけではなくその裏側に戦略的に価値を確保する為の産・官・学全体での活動が従来以上に必要ではないかと思います。
【標準化活動について】
技術面のレベルや貢献の度合いの割に、残念ながら日本は産業に対するリーダーシップがなかなか取れておりません。標準化は技術が上位レイヤに行くほど、裏側のポリティカルな部分でどう力を発揮できるかが重要になってきております。ヨーロッパなどはもともとポリティカルなスタンスで取り組んでいて、特に統一ヨーロッパができて以後は個々の意見対立もまとまり、EUとして大きな力を発揮していますが、日本の取り組みは従来から技術中心に行われていました。また、2018年には中国・韓国・インドとASEANを含むアジア圏のGDPは日本の倍になると予想されております。このようにアジアの時代がすでに目前に迫っているということに対して、アジア各国と小異を乗り越え大きなところで手を携えて戦略的に対応していくことが必要であると思います。
【新しい時代における国際連携について】
これからのイノベーション及び付加価値の強化のためには、産業側が主体となって産学間の長期ビジョンと具体的な戦略という共同戦線を張ること、グローバルな人材の育成と海外からの受け入れによる知のネットワークを広げること、そしてアジア各国との連携という3つの取り組みが必要であると思います。従来のグローバリゼーションはどちらかというとユニフォームな社会を世界に広めるという意味合いが強かったようです。しかしこれからは、オバマ大統領の演説にもあるように、多様性の許容という意味でのグローバリゼーションの概念が広まっていくように思われます。その概念が広まることにより、アジアという枠組みが重視されてくるようと考えられます。従いまして、今後特に、アジアの国々と一緒に、多様性のあるグローバルな連携の場を作っていきたいと思っています。
以上 |
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