[ 講演内容 ]
EUにおける現状
David Geoffrey Morrison (Chief Devices Researcher, Broadband Applications Research Centre, BT Innovate)
     
[プロフィール]

A graduate of St. Johns College Cambridge, Geoff Morrison has more than 35 years research experience at BT Labs working on multimedia technologies, notably analogue and digital video processing. He has represented BT in ITU and ISO standardization activities, has participated in several European collaborative projects and currently chairs the British Standards committee which coordinates UK activity in MPEG. He has enjoyed two secondments to Japan hosted by NTT (1985) and Waseda University (1996). His current focus is the Connected Digital Home.
     
講演映像はこちら講演資料はこちらWEBパネルディスカッションはこちら
     
[講演内容要約] 

ヨーロッパのブロードバンドの現状と今後の動向についてお話したいと思います。ヨーロッパはそれぞれ歴史的文化的に異なり、各国固有の政策や市場を持っていますが、EUに属していない国も含めて全般的にヨーロッパとしての一つの調和を希求しているといえます。私にとって一番身近であるということでイギリスの例をいくつか取り上げますが、ヨーロッパの他の国にも大体似たような状況があると言えます。


【ヨーロッパのブロードバンドの現状】

2008年12月、欧州連合理事会議長国閣僚会議は「ブロードバンドは地球的な社会・経済・教育や政治に有効に参加するために欠かすことの出来ない生活必需品である」として、情報化社会においてヨーロッパ市民の誰でもが、住む場所や社会的政治的背景に関係なくブロードバンドにアクセスできるよう、参加国やメンバーがふさわしい措置を取るよう求める決議を出しました。ブロードバンド普及の現状は今年2月にスペインで開催された世界携帯電話会議においてGSMA委員長がKeynoteで発言したとおり、「依然、100万人のヨーロッパ市民がブロードバンドへの接続ができない環境に置かれている」状況です。無線、xDSL、ケーブルテレビの回線等、今後、どの方法が最も経済的で便利なブロードバンドの普及方法であるかについて様々な意見が出ています。

イギリスでは数週間前、文化・メディア・スポーツ庁から情報通信分野政策についての政府および産業界のアクションプランをまとめたDigital Britain中間報告書が発表され、簡潔ながら今後の情報化社会の中での位置づけを確立する為の国家的な情報通信政策が幅広く打ち出されています。いくつか例を挙げると、無線ブロードバンドカバレッジの2Gの利用可能範囲相当までの拡大、英国情報通信庁が現在打ち出している2.6GHz帯の第三世代携帯電話への利用やアナログテレビの800MHz帯のデジタルへの移行について、今後全ヨーロッパ的連携において中心的役割を果すように政府として支援する方針、2012年を目標とした無線と有線の併用により全国どこでも2Mb/sまでのブロードバンド接続が実現可能などのアクションプランがあります。また次世代携帯電話サービスの開始に向けた周波数の再編については、通信事業者からの投資を喚起する為、現在の通信事業者間の競争市場を維持する為には産業界自らが納得した運用方法のほうが効果的であるという考えから、政府による一方意的な規制の実施には一時的な猶予を設定しています。数年前EU委員会からEUの通信事業者に、国際ローミングへの課金を引き下げるかまたはEUからの規制を受け入れるか提案された際も、通信事業者側は自発的に値段を引き下げたということがありました。


【イギリスの現状と今後の動向】

BTも、2012年までに光ファイバーを使った超高速ブロードバンドを1000万世帯で利用できるように事業展開する計画を発表しています。どれが最も経済的/効果的かは意見が分かれていますが、現在多くの携帯電話事業者がイギリス国内でブロードバンド事業を展開しており、様々なブロードバンドサービスが提供されています。BTが2006年から提供しているビデオオンデマンドやIP電話などの一体型サービスTotal Broadband anywhere は地域によって結構ばらつきがありますが、現在無線LANの共有コミュニティであるFONと提携し、ブロードバンドアクセスのカバレッジを拡大すると共にイギリス全土にオープンな無線接続環境を作ろうとしています。

今後の動向について、LTEの利用については多くの大手事業者が本格的な実施にはまだ2、3年かかるだろうと考えておりますし、WiMAXもしくはLTEのいづれを採用するかについては他国と同様に議論が行われているところです。近年Facebookのような人気サイトやスマートフォン等の高機能端末の登場により携帯電話からのインターネットアクセス量が急激に伸びており、通話よりもデータ通信のトラフィックの方が多いと言われています。



以上
 
BNC FORUM2009 プログラム

講演内容 INDEX + WEBパネルディスカッション


基調講演 『GITI ALLIANCEの実現に向けて』
富永英義(GITI ALLIANCE主宰)


パネル討論T 
『産学連携におけるパラダイムシフト』


国際標準化作業における産学連携の仕組と課題
淺谷耕一 (工学院大学教授)

国際協調における取り組み
花澤隆 (NTT取締役 研究企画部門長)

プロイノベーション時代の研究開発戦略
〜製造業から見た産学連携と標準化〜

広崎膨太郎 (NEC 代表取締役 執行役員副社長)

中国における取り組み
牛志升 Niu Zhisheng(Deputy Dean, School of
Information Science and Technology, Tsihnghua University )


韓国における取り組み
姜哲煕 Chul-Hee Kang(高麗大学教授)

AICとアジアにおける取り組み
Khairuddin Ab Hamid
(Vice-Chancellor/CEO, University Malaysia Sarawak)



パネル討論II 
『移動通信システムのオープン化とパラダイムシフト』


携帯電話の進化とオープン化
竹田義行 (NTTドコモ執行役員)

オープン志向のWiMAX: 「日本の」携帯電話とどこが違うか?
冲中秀夫 (KDDI執行役員 技術渉外室長)

ビジネスにおけるネットワークの展望
弓削哲也 (ソフトバンクテレコム専務取締役専務執行役員
兼CTO技術統括 研究本部 本部長 渉外部担当)


ネットワークの融合におけるOSのあり方
郡山龍 (アプリックス代表取締役)

EUにおける現状
Geoff Morrison (Chief Devices Researcher,
Broadband Applications Research Centre, BT Innovate)
     
     
     
 
   
   
     
       
  Copyright(C) 2009 GITI Alliance Organizing Committee All Rights Reserved.